2012年1月20日
春日大社"初詣で"を開催しました

藤原氏一族の氏神で、古都・奈良の代表的な社寺の1つである春日大社を初詣でで訪れる、ウェーブ産経のイベントが1月10日、奈良市春日野町の同大社で開かれました。境内には約3000基もの石燈籠や釣燈籠があることで知られ、今井祐次禰宜からその由来や特徴などについての解説を聞いた後、実際に見て回りました。
《燈籠の基礎知識》
燈籠は仏教伝来で日本に伝わったと言われますが、インドにはなく中国・朝鮮半島で生まれたと見られるそうです。神仏に火を献ずるほか、照明器具としても発展。燈籠自体を供物として献上する風習もでき、数を増やしたのだとか。

国内最古の燈籠は、奈良県明日香村の飛鳥寺で発掘された、飛鳥時代の石燈籠の基礎部分だそうです。続く奈良時代のものは当麻寺(奈良県葛城市)の石燈籠で「穴虫」と名付けられ、燈籠の形を残しているものでは最古。同大社にある古いものは、平安時代の「柚ノ木型燈籠」と鎌倉時代の「御間型燈籠(元亨=げんこう=石燈籠)」で、それぞれ重要文化財となっています。
石燈籠の構成ですが、上部から順に、宝珠▽笠▽火袋(ひぶくろ)▽中台▽竿▽基礎▽基壇-に分かれます。デザイン面では、八角型石燈籠が奈良~鎌倉中期の古いものに多く、八角型は仏教とともに伝来したとみられるそうです。鎌倉時代以降に発達した六角型は武士の簡素を好む気質や作図上の容易さなどから広まったと言われ、一方、鎌倉後期になって生まれた四角型は当初神社の献灯用として作られ、後に寺院や庭園用にもなったようです。

《春日燈籠について》
同大社の燈籠は、石燈籠が約2000基、釣燈籠が約1000基。石燈籠では石清水八幡宮(京都府八幡市)の約650基、毛利家菩提寺でもある大照院(山口県萩市)の約600基など、多数ある寺社をしのいで日本一の数。特に、室町~安土桃山時代の燈籠は、全国で確認されているうち約半数にあたる約400基があるそうです。
どうして、これほど多いのでしょう。知名度や奈良石という材料と奈良町の石工の存在も大きかったようですが、やはり燈籠を建立するよう勧進を行った「御師」たちの努力なくては実現しなかったのでは、と思います。室町時代には地元の郷士らから、この世とあの世の幸せ「二世安楽」を願った寄進が多く、江戸時代には大名ら武家に加え、経済力を持った商人や自治組織からの奉納が大幅に増加しているようです。江戸時代の奉納料は一応1基10両。現在は石燈籠300万円、釣燈籠200万円で、製作・設置代を除く分については広大な境内の維持管理費に使われるとか。
ところで、江戸時代まで同大社は幕府から灯明料として毎年1650石の知行があり燈籠も毎夜ともしていたそうです。今井禰宜によれば「幕末までは明るい夜だったが、明治になると真っ暗になったようだ。このままでは神様に申し訳ないと明治21年の節分に復興。そして現在は、年に2回行われる『春日万燈籠』になった」とのことです。

《著名人奉納の燈籠も》
説明を受けた後は、実物の見学。まずは、宝物殿のピロティに移設・保存されている重要文化財の2基です。うち「柚ノ木型燈籠」は保延3(1137)年、関白・藤原忠通が寄進したと伝わり、宝珠と火袋などは後世の補作とみられるそうですが、古式でかつ洗練されたデザイン。「御間型燈籠」は、元亨3(1323)年との銘があり、全体のバランスや彫り物が秀逸だそうです。
境内は一目見ただけで、燈籠の多さが分かります。代表的な六角の形で“春日燈籠”とも呼ばれる「秡戸(はらいど)型燈籠」をはじめ、「奥ノ院型燈籠」「雲朴型燈籠」など様々なタイプが並びます。この中には、奈良を治めた筒井家に仕え、後に石田三成の右腕として名をはせた嶋左近をはじめ、藤堂高虎、直江兼続ら著名な武将が奉納した燈籠も。また、仏が仮の姿で神として現れたとする考えから生まれた「春日大明神」の名を付けた石燈籠が15基あるといいます。「一晩で3基見つけ出したら長者になれるという言い伝えがある」と説明してくれました。
燈籠を見ながら、4棟の本殿(国宝)がある中心エリアへとやってきました。堂々とした南門(重要文化財)から入り、釣燈籠が並ぶ回廊を進みます。本殿前の中門(同)で参拝。周囲には重要文化財の弊殿、直会殿、宝庫などがあり、歴史の古さをうかがわせていました。

《“神饌”を味わう》
見学の後はお待ちかねの昼食です。神社とあって、神様への供物のお下がりをいただく直会(なおらい)と同じお膳になりました。中央には、ウイキョウを練り込んだご飯を高く積み上げています。周囲には小皿に入れた8種の神饌が並びます。ブリの照り焼き▽高野豆腐▽厚焼き玉子▽シイタケの煮物▽山芋▽干し柿-などです。いかにも厳かな、現代ではちょっと珍しい雰囲気のランチでした。
(2012年1月20日 16:35)
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