産経新聞ファンクラブ「ウェーブ産経」大阪事務局

近寄り過ぎないのがいい 女優 冨士眞奈美さん・吉行和子さん

 女優の冨士眞奈美さんと吉行和子さん。仲の良さはテレビの旅番組などでもおなじみ。私生活では俳句という共通の趣味を持つ以外、お互いのライフスタイルを尊重し深く関わらない大人の関係が長続きの秘訣だという(文・南本哲雄、写真・瀧誠四郎)

大人の関係

 「25年くらい付き合ってるけど、約束してご飯食べたりしたことは一度もない。近寄り過ぎないのがいいのよね」

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ふじ・まなみ 静岡県出身。俳優座養成所卒。昭和45年~48年のテレビドラマ「細うで繁盛記」の小姑役でブレーク。映画「切られ与三郎」テレビ「奥様は18歳」など多数に出演。主な著書に随筆集「てのひらに落花」、初句集「瀧(たき)の裏」。

 沈黙が嫌いと賑やかにしゃべり続ける冨士眞奈美さん。その横でニコニコしながらうなずく吉行和子さん。女優として経験してきた役柄も違えば、私生活も正反対。家にいるのが大好きで、作った料理を近所におすそ分けしたりするという冨士さんに対し、吉行さんは「隣に住んでいる人が誰なのか全然知らないの」とおっとり表情で話す。

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よしゆき・かずこ 東京生まれ。映画「愛の亡霊」で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。最近は「佐賀のかばいばあちゃん」「おくりびと」などに出演。エッセー集「どこまで演(や)れば気がすむの」で日本エッセイストクラブ賞を受賞。

 一人の自由が好きという吉行さんも、子を産み育ててきた冨士さんの生き方がうらやましいと感じることがある。わが子を初めて抱きしめた時の柔らかさや温かさは一生忘れられないと聞かされた時に、「私は女としてとても大きな忘れ物をした気がした」と思ったという。

 「何でも欲張っちゃだめよ。私が子供の後を追っかけまわしてる時にあなたは恋愛したり、いい仕事して賞をもらったりして拍手を浴びてきた。おしめ変えたからって誰も拍手してくれるわけじゃない。引き換えよ」と話す冨士さんの言葉がお互いのライフスタイルを尊重し合う間柄を物語る。

 人生の楽しみ方は悩まないことだと口をそろえるお二人。「朝起きてすることがある、何かしたいという希望があることが元気になる薬。自分を喜ばせる新しいものを常にを探しています」という吉行さんに対し、冨士さんは「若い時は悩みも快楽だけど、欲望から解放された今は心が自由で平凡に生きることが人生を楽しむ秘訣」だという。

 「若い頃にいろいろあったことを乗り越えてきた二人が大人になってから巡り合い、(人生)最後の部分を一緒に向き合って」楽しんでいる関係は"素敵"という言葉以上に輝いていた。

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