産経新聞ファンクラブ「ウェーブ産経」大阪事務局

《今に残る戦乱の足跡 京都三大合戦に迫る》第3回「武士の時代の"終焉"へ 『伏見城の戦い』」を開催しました

s20110915-01.jpg

 京都で争われた戦乱の実態や、その影響などを学ぶウェーブ産経の文化サロン「今に残る戦乱の足跡 京都三大合戦に迫る」シリーズの第3回「武士の時代の“終焉”へ 『伏見城の戦い』」が9月15日、大阪市浪速区の産経新聞大阪本社で開かれました。講師は京都観光企画会社「らくたび」代表の山村純也さんです。午前の部と午後の部で会員約70人が参加し、関ケ原の前哨戦としての“意義”や、この結果がもたらしたものなどについての解説に耳を傾けました。

《戦国時代と戦国大名》

 前回学んだ「応仁の乱」から続く戦国の世が時代背景となります。まず、それまでの「守護大名」と新たに生まれた「戦国大名」の違いについての説明から講義が始まりました。守護大名ですが、これは幕府に任命され、京都在住が多く、建武式目などの刑罰を用いていました。これに対し戦国大名は、誰からも任命されず、領地に在住、刑罰も独自のものであるなど、独立した存在であることが大きな違いだそうです。

 この戦国大名の中で、最先端を走っていたのが織田信長です。「信長が優れていたのは、いち早く『兵農分離』を達成したこと。専従の兵士を育て、戦いに負けない軍団を持つことができた」そうです。その後を継いだのが豊臣秀吉。天下統一で戦争が終わると、今度は統治能力に優れた人材が必要となりますが、ここで頭角を現わすのが石田三成です。「統一基準を作り検地を行ったのも三成。事務能力に長けているのがわかる」とのことです。

《関ケ原への道》

 豊臣政権を作った秀吉ですが、“暴挙”だと批判されているのが「朝鮮出兵」です。「天下統一で働き場所がなくなった武闘派の大名たちをどうするか考えた末の出兵。訳が分からずやった戦いではないが、別の見方をすれば『無理だ、何をやっているのだ』ということになる」。そして、朝鮮への食料や武器などの補給を手がけたのが三成でした。「計算して滞りがないよう送るという難しい事は三成しかできなかった。しかし、現地から見れば『戦いにもこないで』となり、反感を買う原因になった」ということです。

 秀吉の死後、政権は徳川家康の独壇場となります。家康による天下取りの野望を見抜いた上杉景勝が家康を糾弾し、その結果起こったのが「上杉攻め」です。そして、家康が西国を留守にしたスキに兵を挙げたのが三成でした。

 「家康が当時住んでいたのが伏見城。三成の挙兵を分かっていたはずだから、留守番に残す人には『死んでくれ』と言うようなものだった」そうです。選ばれたのが家康が幼少の頃から仕えていた鳥居元忠。元忠は家康からの感状を、他の武将に仕える時に役立つもので家康にしか仕えないから不必要、と断ったほどの忠臣です。しかし役目は家康に天下をとらすため、伏見城で少しでも長く持ちこたえて討ち死にするという過酷なものでした。

s20110915-02.jpg

《伏見城の戦い》

 舞台の伏見城ですが、この時の城は2代目。初代は秀吉が文禄2(1593)年から整備した「指月伏見城」です。しかし、慶長元(1596)年の大地震で倒壊、約1キロ離れた地に2代目の「木幡山伏見城」が築城されました。

 「慶長五年伏見城攻図」(長崎県・常盤歴史資料館所蔵)にその縄張りが描かれています。大変複雑で堅固な守りと思われますが、されど立てこもったのは約1800人だけ。約4万人もの西軍の前に風前の灯火であったでしょう。が、死を覚悟した城兵の士気は高く、西軍は最後に城中の甲賀衆の妻子を人質にとり、無理やり寝返らせて火を放たせ、13日間かけてようやく落城させました。

 「西軍の出鼻をくじき、時間をかせいだことは大きい。生き残った城兵もすべて自刃する壮烈な最期。三河武士の忠義と頑強さを知らしめた」そうです。そして「こんな家臣がいる徳川家のすごさを西国大名も感じたはず。大将の家康を倒すのは難しいと思っても無理はない」とのこと。

 その後の関ケ原では、家康に内通する西軍武将が相次ぎ東軍が勝ちますが、これも「伏見城の戦いが家康の強さを感じさせた」ことが一因となるようです。

《その後の伏見城》

 関ケ原の流れを作った伏見城の戦い。城の本丸など中心部は明治天皇陵となり立ち入りできませんが、栄春寺(京都市伏見区桃山町丹下)には総構えの土塁の一部が残されています。また城兵が割腹したとされる部屋の床板は「血天井」として、養源院(京都市東山区)などに残っています。

 戦火にあった城は、徳川幕府により再建(3代目)されましたが、京都に二条城が造られたため、元和5(1619)年、廃城になりました。福山城(広島県福山市)の伏見櫓(重要文化財)などは、この時移築されたそうです。

杜の囁きキャンペーンのバナー

ひなちゃんくらぶのバナー