産経新聞ファンクラブ「ウェーブ産経」大阪事務局

「平成♪なにわの語りべ劇場2011冬」大阪ガス㈱エネルギー・文化研究所 栗本智代さん

大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所(CEL)の栗本智代さんは、フィールドワークを中心に、大阪のまちの資源を発掘し、価値を見直し再認識したうえで、後世に伝えると同時に、まちの活性化に活かしていく「大阪再発見」の研究活動を続けていますが、その発展形として、「なにわの語り部」公演による発信があります。講演形式だけでなく、様々なアーティストをまじえた独自の演出による公演を行い、大変好評を得ています。
 
そんな栗本さんが語りと総合監修をつとめる2月14日の「平成♪なにわの語りべ劇場(シアター)2011冬」公演を前にお話しを聞きました。
 

栗本さんが今のような活動を始めることになったきっかけとはなんですか?

かつて上司から大阪の古地図を見せてもらったことがすべてのきっかけになったのではないかと思います。その江戸時代の地図には船場と中之島界隈の賑わいは感じられましたが、今の梅田あたりには何もない。梅田は当時誰も寄り付かない場所だったという話を聞き、オフィスのある高層ビルの窓から改めて梅田の街を見下ろし街の変革を思い、ここには大阪人でさえ知らない面白い文化やエピソードが隠されている、そう確信しました。
 
大阪には多ジャンルにわたって優れたコンテンツがありますが、あまりにも多彩すぎて、都市のブランド戦略として1つに絞り込めないつらさがある。ただ、いろいろ調べていくうちに、大阪の街の持つ素晴らしいお宝が死に絶えないうちにたくさんの人に知っていただきたいと思ったんです。あまり知られていない文化・芸能・建築など掘り起こし、分かりやすく"翻訳"して伝え、街の活性化へつなげる。それなら私にもできるかも。そう思って以来フィールドワークを重ね、大阪の魅力や可能性を伝える「語り部活動」がライフワークになりました。
 
語り部へのこだわりとは?
 
たまたま最初に、なにわの語り部公演として弁士や講談師のようにスライドを使ってやろうということになり、近松文学の代表作である「曽根崎心中」を、シナリオから演出、そして語り部役までを演じる事になった。でも淡々と話をするだけでは寝てしまう人も出てくる。で、起きていてもらうためには、どうすればよいか。自分にできることで何かないかと模索していた時、たまたま合唱団に所属していたのと、ミュージカルが好きで、当時は語るより歌ってみたい願望があったということもあり当たって砕けろでやってみたら、これが拍手喝采。
 
自分は無力だと思っていたが、それまで培ってきた感性が反映されるのであれば、もう少し追求し、勉強していきたい、そして誰も手をつけていない大阪を掘り起こしていきたいと本格的に取り組もうと思ったのです。
 その後今のメンバーである西村恵一さん、宮川真由美さんと共演し、そのセンスの良さと機転、そして演奏力に感動しました。2006年ごろからは毎年2,3回の公演機会があり、お互いの感性が響きあうようになってきました。
 
これからの活動は?
 
 しばらくは、今の形で新たな作品をお披露目していく計画ですが、将来的には、いろんなまちづくりグループやキーマンとコラボをして、"まち歩き"や"まち遊び"と連動した活動を拡充していきたいと考えています。
 
自分が生まれ、仕事や買い物も含めて、日々の時間を過ごしているまちである大阪に、誇りを持ってもらえるように、埋もれている遺産を今に生きる宝にしたい。今後の課題提起も必要です。それが施策やまちづくりに反映されていけばいいですね。
一歩一歩ですが着実に、ひとやまちの元気の素になるメッセージを送り続けたいです。
 
栗本 智代(くりもと ともよ)プロフィール大阪ガス㈱エネルギー・文化研究所主席研究員。大阪生まれ、奈良女子大学卒業後、大阪ガス株式会社入社、91年より現職。大阪の活性化の一環で、都市の個性や魅力を、歴史的文化的側面から探求、同時に「なにわの語り部」公演活動を展開する。「御堂筋空間利用検討会」委員、大阪検定企画会議委員他、多数の委員を務める。
【主な著書】
『大阪まちブランド探訪-まちづくりを遊ぶ・愉しむ』(創元社)『大阪水の都に浮かぶ劇場』(KBI出版)
『大阪の教科書』(創元社):共著『大阪力事典-まちの愉しみ・まちの文化』(創元社):編集・共著
『大阪まち物語』(創元社):共著

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