2011年1月 6日
「現代に生きる魅力的な芸能 シリーズ1」山本能楽堂 山本佳誌枝
みなさま、あけましておめでとうございます。山本能楽堂の山本と申します。本日より、みなさまに「現代に生きる魅力的な芸能」としての魅力をお伝えさせていただければと思っています。拙い文章ですが、お付き合いくださいますようお願い申し上げます。
まず最初に私共のホ
ームグランド「山本能楽堂」について少し説明させていただきます。場所は、大阪市営地下鉄谷町線「谷町4丁目」駅で下車、徒歩2分のところにあります。大阪商工会議所、パスポートセンター、マイドーム大阪にほど近く、官庁街の真ん中にあり、都会の中の社のような存在です。
山本能楽堂は、山本家初代・山本博之により、昭和2年に現在地の中央区徳井町1丁目に創設されました。船場の旦那衆の社交場としてお使いいただいておりましたが、戦災にあい焼失。昭和25年に再建され、現在に至っております。80年以上地元
の皆様方に愛されてきた大阪で一番古い能楽堂でございます。
平成18年には、「市街地にある木造三階建てで本格的な能舞台を有する」ことから、文化審議会により国の登録有形文化財の指定をいただきました。(玄関の左下にそのプレートを掲げさせていただいております。)
扉を開けると、周りの喧噪からは想像もできない異次元空間が広がっています。見所(客席)は今や全国的にも珍しくなった一,二階とも桟敷の舞台で、初めての方でも懐かしいような気持ちを感じていただくことができます。(椅子席もあり)
鏡板は松野
奏風作で、老松を下から見上げたような珍しい形となっております。宮大工の手による能舞台は、長年の年月の間に磨かれ、黒光りし、どっしりとした重量感があります。橋掛かりの欄干は、西本願寺の北舞台を模しており、ゆるやかな弓状を描き、能舞台にやわらかさを添えています。
二階には茶室もあり、そこから見る能舞台の分厚い檜皮ぶきの屋根が舞台の重厚感
をより一層演出しています。
今は、ちょうどお正月ですので、舞台の周りにはしめ縄が張り巡らされ、舞台上には「翁飾り」の祭壇を設えさせていただいております。この「翁飾り」は、能独特のもので、祭壇の上段には白色尉・黒色尉の能面と鈴を入れた面箱を飾り、中段に侍烏帽子・中啓(閉じていても先の方が広がっている扇)、下段に神酒・塩・洗米をのせ
ます。
ちなみにこの「翁」ですが、「能にあって能にあらず」と言われ、天下太平や国土安穏を祈る神事に近い意味合いを持ち、お正月やおめでたいときに上演されます。翁を演じさせていただく者は舞台前の7日間精進潔斎し、舞台の前夜は「別火」といって、他の人(特に女性)と火を別けます。つまり、火を使うこと(お食事、お風呂など)を全て男手だけで行います。当日の楽屋も女人禁制となります。
本来は、「翁飾り」は、「翁」という演目を上演させていただく時に、鏡の間に設えます。そして、その前に全ての出演者が揃って下居し、面箱に向かって深々と礼をし、後見よりお神酒をいただいて身を清める「お盃事」を行い、出を待ちます。囃子方が音を奏でる「お調べ」のあと、火打石で身を清める「切り火」をして、面箱の持ち手を先頭に出演者が橋掛かりを進みますが、これを「翁わたり」と言います。また、面を舞台上でかけるのも「翁」の特徴で、これは人間から神への変身を表すと言われています。
山本能楽堂では4年前から、「初心者のための上方芸能ナイト~年越し特別偏」を大阪商工会議所、大阪市、大阪観光コンベンション協会との共催で大晦日に開催させていただいています。大阪の伝統芸能をダイジェストでお楽しみいただき、カウントダウンで新年を迎えるのではなく、午前零時とともにピーンと張り詰めた空気の中、厳かに「翁」を上演させていただいております。
そんな日本ならではの年越しもまたいいもので、私も毎年あらたかな気持ちで新年を迎えさせていただいております。
みなさま、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
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(2011年1月 6日 14:52)
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